メールについての蘊蓄(うんちく)

メールというのは、インターネットの中でも特にマナーにうるさい 道具である。やれ、文字化けしてるとか、件名が読めないとか、 先輩たちのお目玉を食うことが多い。

なぜそうなのかを理解するには、メールシステムの仕組みと歴史を ざっとでも知っておくといいと思う。

メールの仕組み

メールを出したり受け取ったりするのに、サーバを指定しないと いけない。これは、ユーザからユーザへ直接渡そうとすると、相手が ネットワークを使っていないかもしれないとか、UNIXマシンにログインして いないかもしれないとかの理由でこうなっている。

つまり、メールが伝わっていく経路を書くと次のようになる。

  1. 送信者のパソコンから送信メールサーバへ
  2. 送信メールサーバから受信者の受信メールサーバへ
  3. 受信者の受信メールサーバから受信者のパソコンへ
安直に「パソコン」と書いてしまったが、パソコンでなくワークステーション のこともある。

つまり、メールを利用するには 送信メールサーバと受信メールサーバがないと いけないことになる。普通このふたつのメールサーバは同じであることが 多いが、別々になっていることもある。 メール管理者 (POSTMASTER) の指示に従って、正しく設定しなければいけない。

メールシステムの歴史

現在のようにインターネットとパソコンが普及する前には、ユーザは メールサーバの機能を備えた UNIX ワークステーションにログインして メールを読み書きするのが普通だった。

だから上記の経路はあいまいで 2. だけが存在しているようにも見えた。

2.のところはインターネットに直接接続されていない組織の場合には 電話回線で UUCP (Unix to Unix CoPy) を使って転送していた。 しかし、ほとんど直接接続がなされるようになって、2.のところには SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) が使われるようになった。 現在でも SMTP や 拡張した ESMTP が用いられている。

1.のところも、送信サーバは普通受信もできるので、SMTP が使われる。

3. のところだけ、SMTP が使えないので、POP (Post Office Protocol) が使われる。

メールアドレスの仕組み

メールアドレスは userid@subdomain.domain.topdomain のように、 @ の前の個人を表す ID と、 @ の後に続くインターネットドメイン からなっている。インターネットドメインは例えば高知大学の学生 の場合、 s(学生) kochi-u (高知大学) ac (学術組織) jp (日本) のように階層構造を持ったドメイン名を . (ドット) で 区切ったものである。ドットを , (コンマ) と間違えたり、kochi-u を kouchi-u と間違えて綴るとメールが届かない。(日本語のローマ字 表記としては kochi ではなく kouchi のはずだと主張しても、 今からでは遅い)。また、同じ高知大学の中であるからと、ac.jp を 省略することはできない。いつどこで kochi-u という名前のトップドメイン が作られるかわからないからである。