文書の整形 --- TeX入門

目次

TeX による文書整形

これから 勉強する、 TeX は 広い 意味での ワープロ ソフト です。 エディターが 計算機に 理解できる 文書 ファイルを 作る ために あるのに 対して、 ワープロ ソフトは 人間が 見た 目に きれいな 形で 印刷できる ことを 目標に おいて います。 パソコンでは ワープロ ソフトは それぞれの 機種に 専用で ある 場合が 多い のですが、 UNIX で 使われている TeX は、 大型 計算機から パソコンまで 広い 範囲で 使われて います。 しかし、 一方で TeX は プロの 組み版 技術を まねることを 目標に 作られて いるため、 使い勝手の 方は ワープロに 比べて 難しいとも 言えます。 ワープロと いうよりは、 組み版の ための プログラム 言語 という 側面が 強い ソフトです。

実際に TeX で 印刷を するには、 まず プログラムに 相当する ソース ファイルを 作成します。 それから、 platex コマンドを 用いて、 印刷装置 非依存ファイル (dvi ファイル) に 変換します。 さらに、 dvi ファイルから ここで 使っている プリンタ 制御用の 言語 である、 ポストスクリプト 言語で 書かれた ファイル (ps ファイル) に 直します。 この ファイルは、 Ghostscript (gs) で ディスプレイに 表示したり、 lpr コマンドで プリンタに 出力したり する ことが できます。

以下の 練習に 入る 前に、 TeX という ディレクトリを 作って その下で 作業を することに しましょう。

cl01{as99x999}1: mkdir TeX
cl01{as99x999}2: cd TeX

TeX のソースファイルの作成

まず 最初に、 次の ような 文書 ファイル (hello.tex) を、 テキスト エディタを 利用して 作成して 下さい。
\documentclass{jarticle}
\title{私の \TeX 初体験}
\author{誰野誰兵衛
  \thanks{高知大学理学部情報科学科1回生}
}
\begin{document}
\maketitle
私は今日はじめて \TeX というものを使いました。
\end{document}

TeX のコンパイル(dviファイルへの変換)

できあがったファイルを platex コマンドにかけます。
clo1{as99x999}3: platex hello
This is TeX, C Version 2.99 - j1.7e (preloaded format=jlplain 94.3.2)
(hello.tex
LaTeX Version 2.09 <24 May 1989>
:
cl01{as99x999}4: ls
hello.aux  hello.dvi  hello.log  hello.tex

ソース ファイルに エラーが なければ、 以上の ような メッセージが 出され、 hello.dvi という ファイルが できます。

dvi から PostScript への変換

プリンタに 出せる ポストスクリプト ファイルに 変換する には dvips という コマンドを 使います。
cl01{as99x999}6: dvips hello

PostScript のプレビュー

PostScript (ps) ファイルは印刷する前にできます. Ps ファイルの プレビューには、 gs コマンド (ghostscript) や、 ghostview コマンドを 使います。
cl01{99ss999}1: ghostview hello.ps &
ghostview をバックグラウンドで実行し,修正の後には Reopen を 使うと良いでしょう. また,Solaris では imagetool を使ってプレビューすることもできます.

PostScript の印刷

この授業では実際の印刷はしません
印刷には lpr コマンドを 使います。 形式は lpr -h hello.ps などと します。 今回は 印刷しないで ください。 プリンタの 待ち 状態を 確認する には、 lpq コマンドを、 待ち 状態に ある ファイルの 印刷 取り消し には lprm コマンドを 使います。 それぞれ、 man で 使い方を 読んで おいて 下さい。

少し長い文書の作成

先程の ファイルに 付け加えて、 次の ような ファイルに したとき どのような 結果が 得られるか 確かめて みましょう。
----------------------TeX ソースの始まり----------------------
\documentclass{jarticle}
\usepackage{multicol}
\columnsep 1.5cm
\title{私の \TeX 初体験}
\author{誰野誰兵衛 
   \thanks{高知大学理学部情報科学科1回生}
}

\begin{document}
\maketitle

\begin{multicols}{2}
\section{はじめに}
私は今日はじめて \TeX というものを使いました。

\section{例題}
\subsection{英語}
あちら製なので、英語が得意なのはもちろん、

For example, this is an English text.

\subsection{数式}
数式だって書けるというのです。たとえば、

\begin{displaymath}
\int_0^\infty \frac{sin x}{\sqrt{x}}dx
   = \sqrt{\frac{\pi}{2}} 
\end{displaymath}

のようにです。
\subsection{書体}
日本語では、明朝体と {\bf ゴシック体} が使えますが、
英語では、{\rm roman}, {\bf bold}, {\sf sans serif},
{\it italic}, {\sl slanted}, {\sc Small Capital}, 
{\tt typewriter} などが使えます。

\subsection{文字の大きさ}
文字の大きさも、{\tiny tiny} から、{\normalsize normalsize}, 
{\Huge Huge} まで変えられます。

\section{まとめ}
\TeX にはもっと沢山の機能があります。本当はじっくりと

\begin{itemize}
\item{\LaTeX 美文書作成入門: 奥村晴彦著、技術評論社(2500円)}
\item{\LaTeX トータルガイド: 伊藤和人著、秀和(2000円)}
\end{itemize}

などの参考書を片手に勉強した方がよろしいようです。
\end{multicols}

\end{document}

----------------------TeX ソースの終わり----------------------

注)
  1. 名前は自分の本名を書いてください。
  2. 数式を本文の行に入れるときは、\begin{math} などとします。
  3. 最初に \usepackage{multicol} とすることで \begin{multicols}{2} を使って本文の途中から 2段組みにすることができます。
    他にもいろいろ便利な package があります.
  4. この他に 他のプログラムで作られた図や写真の ポストスクリプトファイルを組み込む機能を オプションで入れることもできます。